2012年5月12日土曜日

What A Heavenly Day! » 気ままにおでかけ


春はサーカスの季節
Ringling Bros. VS Big Apple

大人こそ楽しめるアトラクション、サーカス
春です。暗くて寒くて長いニュージャージーの冬からようやく抜け出て、暖かい日差しが戻ってくる季節です。でもまだ外で遊ぶには早いこの季節、ニュージャージーには春を呼ぶエンターテイメントがあるのです。それは「サーカス」!ニューヨークではリンカーンセンター裏にサーカス小屋が建つ風景が冬の風物詩の一つとなっていますが、ニュージャージー近辺は毎年3月からサーカスの公演が続出なのです。

サーカスといえば思い出すのはボリショイサーカス(ロシア)や日本の木下大サーカスでしょうか。最近ならシルク・ド・ソレイユ(カナダ)も人気がありますが、これはちょっと毛色が違うのでひとまず置いておいて、実は先の2つと、アメリカのリングリング・ブラザーズ・サーカス(Ringling Brothers & Barnum and Bailey® Circus、以下リングリング)が、観客動員数で世界の3大サーカスになるのだそうです。

サーカスってどうも「子ども向けのアトラクション」という印象が強いのですが、いやいや大人の方が夢中になると言った方がいいかもしれません。空中ブランコ、アクロバット、ジャグリングに動物ショーなど、わかっちゃいるけどハラハラドキドキしてしまう場面があるかと思えば、次はピエロのコントで大笑い。息をつく暇もなく、次々と楽しませてくれるサーカスは大人にとっても最高のエンターテイメント。気難しそうな大人だって、見ているうちに子どものような無邪気で素直な顔に変わってしまうんですよね。

 さてサーカスのチラシを見て「おお!春だ!サーカスの季節だ!」と浮き足立ったわたくし、今年はちょっとがんばって、アメリカ最大のサーカスといわれるリングリングと、ニュージャージー近辺でもう一つ有名なサーカス、ビッグ・アップル・サーカス(Big Apple Circus)を続けて見てきました。


大恐慌のフォトエッセイ

ど派手で大スケールのリングリング・サーカス
リングリングは"The Greatest Show on Earth®(地球で一番素晴らしいショー)"という謳い文句で有名。1952年のアカデミー賞最優秀映像賞を獲った"The Greatest Show on Earth(1952,Paramount Pictures)"というサーカス映画にも登場しているほどで、今年で136シーズンを迎える老舗、しかも毎回どでかいアリーナを借り切りです。年季の入り方も違いますが、スケールも全然違うんです。ニュージャージー周辺では、毎年3月上旬にコンチネンタル・アリーナ、3月下旬にマジソン・スクエア・ガーデン、そして5月にはトレントンのソヴェリン・バンク・アリーナにやってきます。我が家はソヴェリン・バンク・アリーナのすぐ近くに住んでいるので、アメリカに来てすぐに見つけて、行ってみたらすごく楽しくて、それから毎年親子共に楽しみにしているイベントの一つです。

さて今年はリングリング4年目、コンチネンタルアリーナ公演に行ってみましたが、今回は「プレ・ショー」から参加してみることにしました。これは開演1時間前から行われるショーで、観客はなんとアリーナの舞台に降りて、ピエロや演者や動物達を間近で見れるのです!しかもチケットを持っていれば誰でも無料で参加できます。その存在が気になりながら、いつもぎりぎりセーフで会場に入るため見る機会がなかったので、今回はかなり気合を入れて開演1時間半前に会場入りしました。「よし絶対一番乗り!」と思ったのに、コンチネンタルアリーナのドアの前にはすでに100人くらい待っているではありませんか。こんなに人が待っているんだったらすぐにドアを開けてくれるだろうと思いきや、待てども待てどもドアは開かない� ��きっちり開演1時間前まで待たされました。

ようやくドアが開いて、座席を探す前にまずポップコーンと飲み物を買って、トイレに行って、アリーナ内に入ってみたら・・・うぎゃーー!アリーナに黒山の人だかり!プレ・ショーってこんなに人が来るものだったのか。知らなかった、こんなことならポップコーンは後回しにするべきだった!と慌てて舞台に降りて人の山に紛れ込むことにしました。2箇所に分かれてピエロやアクロバットや動物の短いショーが目の前でいくつも行われる、これはいいですね。子ども達も大喜びでした。子どもとピエロとの2ショットも撮れましたよ。


大恐慌のワークシートの原因

ということで皆さん開演1時間前に行かれるのをおすすめします。プレ・ショーが終わってからでもポップコーンを買う時間は十分ありますから、会場に入ったらアリーナへ直行です。 さあ肝心の本編、リングリングのみどころはいくつかあるのですが、まず最初にスーパーボール開会式並みの気合が入った「国歌斉唱」が見ものです。そしてそれに続くオープニング、これはもう、「さすがリングリング!まいった!」と思わせるど派手さとスケールです。どちらも見逃してはいけません!リングリング名物の象さんのパフォーマンスも必見ですね。それからアリーナいっぱいに馬が走り回るダイナミックなロシア・コサックの乗馬パフォーマンスもよかったですよ。あとは見ていただいてからのお楽しみ・・・。

あ、一つだけアドバイスですが、座席が舞台からあまり遠いと、会場が広すぎるだけに何をやっているかよくわからなくなってしまいますので、なるべく前の席で見てくださいね。ちなみにCelebrityというVIP用の限定席は、公演中に特製列車に乗ってアリーナを回り、演技を間近で見れるというおまけつきですが、通常の倍くらいの値段がします。

サーカステントで臨場感たっぷり ビッグ・アップル
次にビッグ・アップル・サーカスについてご紹介しましょう。ここは結成して今年で28年目を迎える非営利団体です。1974年にアメリカ人2人がイギリスでコミックジャグリングのコンビを組んでヨーロッパ各地を回り、2年後にアメリカに戻って、バッテリーパークにテントを張ってサーカスを行ったのが始まりだそうです。リンカーンセンター裏手のDamrosch Parkに毎年張られるサーカステントはこのビッグ・アップルのテントで、今シーズンも10月から1月に公演が行われました。そしてニュージャージー中部のブリッジウォーターでは毎年春先に1ヶ月ほど公演が行われます。今回はこのブリッジウォーター公演に行ってきました。


"新しい契約"、 "大恐慌"

 アメリカではビッグアップルのような「サーカステント規模のサーカス」を、大規模なものと区別するためにOneRingと呼ぶようです。つまり小屋の中には、演技をする円形の舞台(Ring)が一つだけ、という意味ですね(ちなみにリングリングはリング3つ分の広さの舞台を使う)。多くの人はどどんとそびえ立つサーカステント(Big Topといいます)を見るだけで、うきうきしてくるはず。かくいう私も「うおおーー、サーカスや!サーカスや!」とまだ中に入ってもいないのに、子どもそっちのけで興奮してしまいました。そしてテントの中に入ってみると、中はそれほど広くなく、真ん中にちっちゃい円形の舞台があって、それを取り囲むように座席が設けられていました。さらに目の前には生バンド。真ん中で演技している人たちの息遣いだけでなく、観客のどよめきや表情までもがとても近く感じられて、テントの中にいる人全体が創り出すエネルギーがびんびんと伝わってきて、とても心地いいのです。しかも今回はラッキーなことに前から2列目の席!だから演者の表情やつぶやきまでくっきりとわかり、かなり楽しめました。

 ビッグ・アップルの特徴は、トラやライオンなど、いわゆるアフリカ系の怖い動物は登場せず、動物で出てくるのは犬と馬くらいです。犬のショーはとってもかわいい!マルチーズが目の前でちょこちょこと走るのをうちの子ども達は夢中で見ていました。あとはジャグリング、空中ブランコ、アクロバット、ピエロのどたばたコントなど、定番のサーカスパフォーマンスですが、目の前で繰り広げられるとやっぱり迫力が違います!また今回のビッグ・アップルのテーマは"Grandma goes to Hollywood "といって、サイレントムービーから最新ヒットまで、有名映画作品のパロディがたくさん登場するので、大人も楽しめる構成になっています。


アメリカに「いっこく堂」も真っ青の腹話術師がいた!
しかし、今回のビッグ・アップル・サーカスで、なんとしても日本人の皆さんにご紹介したいのがこの方、イタリアからやって来た腹話術師・Willer Nicolodiです!まさかサーカスで腹話術を見ると思っていなかった私は、彼が出てくるなり興味津々でした。ウィラーはまずは腹話術でおなじみの鳥のパペットともう一つのパペットを使って、2種類の声を使い分けた腹話術を披露してくれました。そのあと、舞台袖から小さな子犬ちゃん(本物)を呼び寄せたのです。子犬ちゃんはさっとウィラーに走りより、抱きかかえてもらいました。そしてウィラーは子犬ちゃんに、おはようと言えとしきりに言うのです。そんなんできるわけあれへんやん、と思っていたら、なんと「グーッドモーニーーング」と、けだるそうな太い声で、しかも口を開けて子犬ちゃんがしゃべったではないですか!もう私、がびーん・・・とあんまりにも驚いて、目が飛び出て、口があんぐりしたまま閉じなくなって しまいました。その後も完璧なタイミングで口が開いて絶妙な「返し」をする子犬ちゃん。恐るべしです。

 しかし超絶テクニックはまだ続いたのです。子犬ちゃんがひと仕事終えて走り去ったあと、ウィラーは観客の中から3人、インド系のおっちゃんと、大柄なアフリカ系のおっちゃんと、きれいなお姉さんを舞台に連れ出しました。そしてそれぞれの手を握って口をパクパクさせる練習を始めました。つまり「腹話術人形」に仕立て上げたのです。そして3人を並べて腹話術を始めたのですが・・・いやーーー、面白い!面白すぎる!!もう私、ヒーヒー言いながら笑いました。あんまり英語がわからなくても、その様子を見るだけで十分笑えます。ノリのいい「腹話術人形」の手柄もあるけれど、それにしてもこの人、うますぎる!「アメリカのいっこく堂」と呼ばせてくださいウィラー師匠!!

・・・ということで、私は他の演目でも満足なところに、この「アメリカのいっこく堂」ウィラー師匠を拝めたことで、行った価値満点となったビッグ・アップル・サーカスでした。 さあ春です。サーカスを見てわくわく・ドキドキ・ワハハのひとときを楽しんでくださいね!!


Ringling Brothers & Barnum and Bailey Circus

136th Edition Blue Tour
3月23日-4月17日:Madison Square Garden(NYC, NY)
4月20-30日:Wachovia Spectrum(Philadelphia, PA)
5月17-21日:Sovereign Bank Arena(Trenton, NJ)

Big Apple Circus

28th Season, Grandma goes to Hollywood
3月4-26日:Commerce Bank Ballpark(Bridgewater, NJ)
5月13-29日:Cunningham Park(Queens, NY)
6月2-11日:Long Island University, C. W. Post Campus (Brookville, NY)

(たんぽぽ2006年4月号)



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