Twitterで軽くつぶやいたのですが、先週水曜日、文科省の役人さんが2名私の働く組織に来られました。
向こうは、全米共通学力基準(Common Core State Standard)の二つあるプロジェクトの一つ・PARCCプロジェクトの管理・運営を行っている組織であるという理由で、今回来られました(後で聞いたら、2年前にも来られていたそうです)。
役人さんはまさか日本人がいるとは思ってなかったらしく、ビックリしてたみたいですが、2年前に訪問の際、対応された人(実は私の上司になるはずの人で、私がSkype面接した時はまだいました)が、昨年、転職され、今回代わって(日本で英語の先生&リサーチなどをしたことがある)私の同僚のアメリカ人女性と私が対応することになりました。
基本的に、向こうは我々が動かしているPARCCプロジェクトについて質問をされ、私の同僚の女性が最初の方は答えていました。
で、来られた役人さんがされた質問が
1.Common Core State Standard(全米共通学力基準)がどのような経緯で始まったのか?
2.誰がCommon Core State Standardを提言したのか?
3.Common Core State Standardにおける学力基準のモデルはあるのか?
4.Common Core State Standardにおける共通するカリキュラムはどのような人が、それくらいの規模で作成しているのか?
"何が教育と学習されている"
5.Common Core State Standardを決めるプロセスは、小学校低学年から徐々に決めるプロセスか、又は高校から順番に決めるプロセスなのか?
などなどでした。
上の質問を全て私の同僚が答えてくれたのですが、2010年に入社したにもかかわらず、よく知ってるなーって横で聞いていて関心しました(ちなみにこの女性、修士号取得はしているものの、まだ20代後半の若い子です)。
とはいえ、隣で聞いていた私が彼女の回答を聞いてて痛感したのは、
「(その同僚は)統計学、データ分析の経歴がないため、Common Core State Standard、No Child Left Behindなど全ての説明に、(確かによく知っているのですが)データ分析の重要性、(データ分析に基づいて政策立案&決定を行うシステムである)Data-driven Systemの説明が一切ふれられていない・・・」
ということ。Common Core State Standard、No Child Left Behind、どちらもデータ分析&データベース作りが最重要事項にあげられ、この話を避けて説明は完結しません・・・・・・が、この点が抜け落ちておるのが肌で分かった私。
「このまま説明が続くと、役人さんがデータ分析に関する話を聞かずに、誤解したまま日本に帰られる・・・」と危機感を抱いていたら、丁度後半になって、同僚が席を外したことを良いことに、こちらも日本語で説明を加えました。
そして、役人さんも(やっぱり日本語の方が良いに決まってますが)安心して聞いてくれました・・・が、ここでやっと役人さんの今回来られた趣旨、つまり本当に聞きたかったことが分かりました。それは、
どのように学界の成果を定義しません
高校・大学受験に代わる、日本の子供たちが勉強するインセンティブになるもの
これです。
知っての通り、日本は少子化が進み、大学へ進学するのが年々(子供の数は減っているのに、大学へ入学する学生の割合は上昇している・・・つまり、競争率が低くなっているため)簡単になっています。
昔は(良いか悪いかは別にして)良い大学→良い会社→お金が沢山稼げる良い!?人生
なる図式が日本に存在しましたが、それが今はかなり崩れてきていて、文科省の役人さんも受験勉強が子供が一生懸命勉強するイニシアティブにならなくなってきている・・・と危惧されているそうです。
そ� ��で、文科省としては、アメリカのCommon Core State Standard、とりわけ大学進学とセット(前にブログで説明したCollege Readyの話です)で学力基準を設定しようとしているPARCCに目をつけ、何かヒントになるような話はないか?と今回訪問されたそうです。
というわけで、私の同僚がしなかった、私が役人さんにした話を要約すると(このブログでは何度も説明している話ですが)
1.Common Core State Standardのきっかけの一つは、Data-driven Systemをより推進させるため
2.元々アメリカは高等教育において、データ分析に基づき政策立案&決定を行うData-driven Systemを推進し、かなりのレベルにおいて確立してきた
3.しかし、高等教育で確立しても、アメリカの教育水準はなかなか上がらず、K-12の改革の重要性が増した
学校で心理学者どのように多くの年であると
4.ただ、高等教育と違い、K-12は公立学校は全て税金でまかなわれているにも関わらず、教員組合の抵抗が激しく、なかなか思うような改革ができないでいた
5.K-12の改革に手を焼いていた各州政府の現状を理解した連邦政府は、遂に(地方分権で基本、K-12は州政府に任せていたにも関わらず)怒濤のメスを入れる。それがNo Child Left Behind法
5.No Child Left Behind法で、各州政府は州規模の学力テストの必修、そしてそこから得たテストスコアーを運営&管理するData-driven Systemの構築、そしてそれらを使ってAccountability、つまり学力の低い、高いは誰の責任なのか、責任の所在をデータ分析を通してはっきりさせる方向に出た。
6.さらに、オバマ民主党政権になった今もこの動きは加速し、教育予算獲得競争・Race to the Topを行い、お金というインセンティブを使って、連邦政府の行う教育改革に賛同する教育改革を行う州政府に膨大な資金提供を行った
7.今行われているCommon Core State Standardが実行されると、今までバラバラだった各州政府の学力基準が統一され、連邦政府が全米全ての学力状況を一元管理し、かなり細かく各州政府の学力状況を把握できる体制が整う
というわけで、上記が私が役人さんにお話した内容の半分を要約したもの(半分・・・というのは、もう半分は「では、日本では(アメリカのアプローチを参考に)どのような形で改革をすべきか?」についてお話させてもらったのです)。
で、役人さんの反応は、
「お金によるインセンティブで、アメリカ・連邦政府が教育改革を行っていること・・・というのが、今日の話で一番驚きました」
とのこと。
私の倍以上話した同僚の話ではふれられていない、私に話しの方がためになった・・・という発言に、心の中で「(自分の話が役に立ったのは嬉しいが)あんなに親切に詳細に話した私の同僚の説明って・・・・・・・(汗)」と思いましたが、いずれにせよ、文科省の役人さんが何を考えているか分かったことは、思わぬ収穫でした。
というわけで、では、日本にアメリカの教育を応用する話・・は、これまた長いのまた別の機会にこのブログで書きます。
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